6/27/2013

愛猫の思い出 

学校の帰り道、隣のクラスの原さん宅にお邪魔した。
生まれた子猫たちを拝見しに。
見るだけのつもりで。
でもなぜか、小さなダンボールを抱えて帰った。

最初は別の子に惹かれたんだけど、「その子はメスだよ」と言われ、
仕方なく、「じゃあこっちの子にする」とオスの子猫に決めた。

猫が飼いたくて、何度も両親に懇願するも、
当時は社宅住まいで毛頭無理、母親も猫が嫌いとか言うし。
じゃあ、もう現物を連れて帰って、説得を試みる作戦で。

反対していた母親も、あまりの可愛さに打ちのめされたのか許しが出て、
翌日、トイレや砂や何やかやを買ってきてくれた。
その新しいトイレで、子猫は1日我慢してたオシッコをした。
「今までちゃんと我慢してたんだねえ。えらいねえ。いい子だねえ。」

脱走したり、壁をよじ登って落下して大事な牙を折ったり、
角部屋の我が家から、ベランダの手すり上を走って、
一番向こうの角部屋のお宅まで行ったり。
近所にバレバレで、持ち家計画が前倒しとなって引越した。

オスのつもりで名付けもしたのに、病院に行ったらメスだと言われ。
笑うしかない事実に、結局改名はしなかった。

やんちゃな時代は、外で色んな物を拾い咥えて持ち帰り、主人に見せる。
虫やら、小物やら、小鳥…やら。
いつしか、どこで拾ったのか大きな刷毛を引きずりながら咥えて来た。

野良猫にいじめられ、傷を作って帰ってくる内弁慶。
鳥を見てはケケケと言い、網戸に登って穴を開ける。

年と共に、猫本来の落ち着いた性格が出てきて、
ごはん時とドアを開けて欲しい時のみに甘えてくるクールな猫となった。

好きなものは、鶏肉のささみと刺身とチーズ。
嫌いなものは、人間の子供。

贅沢にも、月に1度送迎付きのシャンプーに通った。
迎えの車が到着すると、
ダッシュで逃げて、折角のお迎えを台無しにしてしまった事もあった。

帰宅が遅くなると、早くごはんを寄こせと怒る。
名前を呼ぶと、長い尻尾でバンバン返事する。
安心しきって仰向けで熟睡する。
ソファと柱で爪とぎ。
丸めた前足。
色んな姿を思い出す。

20歳。
最期は苦しい思いをさせてしまった。
悔いが残る。

20年の間、父親の単身赴任や姉の結婚、私の一人暮らしに結婚。
家族の形が変わっていったけど、実家にいつも居たのは母親と猫。
一番悲しんでいるのは、昔は猫が嫌いだった母親。

猫ごときで帰国!?と言う人もいるだろうけど、
私は、その猫ごときで急遽一時帰国した。

最後に家のお風呂で体を清めた。
シャンプーは大嫌いだったねえ。ごめんねえ。

家族と写真を広げて思い出話をする。
火葬の日まで、母親と挟んで隣で寝た。

小さな骨壷を抱えて家に戻る。
もう居ない事が信じ難い。

ドアの隙間から、白い前足が出てくる気がする。
2階で物音がすると、居るんじゃないかと思う。
階段を下りてくる気がしてくる。

この家に猫が居なかった事がないから、
慣れるまで時間がかかりそうだと、母親が言う。

大切な家族が天国へ旅立った。


エアコンの室外機(2階)の上 何を見てるの?


たくさんの思い出をありがとう
また会いたいよ

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